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レース体験記:サハラマラソン挑戦記

挑戦者:田中友佳子
レース:第17回 サハラマラソン
時期:2002年4月約15日間

最終ゴール直後、ガッツポーズを取る田中友佳子さん戦いが終わった包帯だらけの足

大学生時代、貧乏旅行で横断した中国の砂漠。
そこで砂漠の魅力にとりつかれました。

その時はバスを乗り継いで横断したのですが、いつか自分の足で砂漠を歩いてみたいと強く思ったのでした。
そして、ふとしたきっかけでサハラマラソンのことを知り、歩きでも充分可能な制限時間だったので、チャレンジすることに決めました。

チャレンジを決意してから2年弱、とうとう出発の日がやってきました。

初めてのサハラ砂漠。日本にいる時までは、念願の砂漠を歩くことができるという楽しみでココロがいっぱいだったのですが、成田を出た頃から装備のこと、食料のこと、そして自分の限界のことで不安いっぱいになってきました。事実、私の持ち物には問題があり(特に食料)、パリでサハラ経験豊富なお2人にいろいろアドバイスをいただいた上、買い物まで一緒に行っていただくという始末でした。

もうこの時点で1人だったらリタイヤしていたなと思います。私が日本から用意していった食料はとにかくカロリー重視で、その代表としてナッツ類が結構な割合いを占めていました。いくらカロリーが高くても、リスじゃないんだからあの量のナッツはないだろうと今となっては笑ってしまうのですが、その時は大真面目だったのです。

幸い、パリでバラエティ豊かな食料を買い足したため、レースでは楽しく飽きない食事を取ることができました。
この時は、お2人が以前行ったことのあるというソルボンヌ大学近くのアウトドア用品店に連れて行っていただき、KnorrのBivouacシリーズのピラフやクスクス、フルーツ、ポテトサラダ等を買いました。特に、ピラフはカロリーが高く、調理時間も短く(熱湯5分)、しかもおいしくておススメです。水でもどすタイプのフルーツも砂漠で食べると感激します。少し涙が出ます。日本から持ってくるよりここで買った方が良いかもと思ったくらいです。

ここで装備についての不安はお2人のおかげでほぼ消えたのですが、残る不安は靴でした。普段より一応大きめな靴だったのですが、その大きめ具合がものすごく甘かったようです。でも、靴だけは日本である程度履き慣らしたものだし、と思ってそのまま行きました。後はもう開き直りです。

不安もピークまでいくと、もうどうでも良くなってくるもので、来るなら何でも来いという、まるで横綱にでもなったココロモチになりました。

レース初日は景色を満喫し、少しマメができただけで無事だったのですが、とうとう2日目にサハラの洗礼を受けました。とにかく『足、痛あああああああい!!!』のです。やはり靴が小さかったのです。3日目には20Km程ビーチサンダルで歩きましたが、その日の夜、ドクターにサンダルで歩いたことがバレて『明日は絶対サンダルで歩くな』と言われてしまったのでした。

2日目から毎日メディカル通いです。常連です。悲鳴も絶好調です。とにかくメチャクチャ痛い!

トイレに出かけるのもヨチヨチ。毎日『足よ、明日もお願いだからもってくれ。』と語りかける日々でした。オーバーナイトの日の朝、靴の先をナイフで切り、インソールも捨てました。小指は喜び勇んで靴から飛び出しています。『小指、よかったね。』と思いつつ以後ずっとこの状態で歩きました。砂はもちろん入りまくりですが、むりやり足を靴に押し込むよりずいぶんと楽でした。

とにかく足はこれでもかという巨大なマメだらけで、グルグル巻のテーピング大王状態です。その上むくみがひどくドクドクするので寝る時はペットボトルを足まくらにして眠りました。

こんな私ですが、今回日本からご一緒に参加したみなさんやいろんな国の選手やスタッフの方々の優しさと励ましのおかげで、また、日本で応援していてくれる人たちのおかげでなんとか完歩することができたのでした。また、サハラ出発の1ヶ月前に亡くなってしまった父もなんだか一緒に歩いてくれていたようで、私が辛くなると励ましてくれていたように感じました。サハラでは、そういう感覚が敏感になっていたような気がします。

一緒に歩いてくれたといえば、オーバーナイトの2日目、私はビリッケツだったのですが、なんとラクダが最後の1km位一緒に歩いてくれたんです。スタッフの方も励まして下さりとてもうれしかったです。

砂漠はやっぱり一筋縄ではいかない生き物のような所でしたが、足の痛さにも10倍は勝るとても魅力的なレースでした。また行きたいなあ。

[補足]
パリからの帰りの飛行機では、初めてのレースも無事(?)終わり、日本に帰るという安堵で気持ちが大きくなるものですが、あまり無防備になり過ぎて優雅にワインなどたしなむと、トイレに行く時などに頭から急に血がひいてきてぶっ倒れることがありますのでご注意ください!

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